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【2026年最新】韓国キャンパスを変えるベトナム人留学生8万人|多文化共生の最前線を徹底解説
2026年5月7日
2026年の韓国大学にベトナム人留学生が急増。8万人超が変える韓国社会の最前線を在住ライター視点で徹底解説。
日本でも少子化が深刻な課題となっているが、韓国の合計特殊出生率は2023年に0.72を記録し、世界最低水準が続いている。大学の定員割れが加速するなか、韓国のキャンパスで「救世主」的な役割を果たしているのが、急増するベトナム人留学生だ。2025年時点で約8万人のベトナム人が韓国で学んでおり、中国に次ぐ第2位の留学生送り出し国となっている。K-POP・韓ドラで韓国を「知っている」世代が、実際のキャンパスへと押し寄せているその現場をリポートする。
なぜベトナム人は日本でなく韓国を選ぶのか
日本にも多くのベトナム人が暮らしているが、留学先として韓国を選ぶ理由には明確なロジックがある。現地取材で浮かび上がったのは、3つの決定的な要因だ。
- 文化的な親しみやすさ:K-POPや韓ドラを通じて、韓国はすでに「行ったことがある気がする国」。知らない場所へ飛び込むのではなく、画面で見てきた風景を確かめに来る感覚だという声が多い。
- コスパの良い学費と奨学金:日本・オーストラリアと比べて学費が相対的に安く、韓国政府・各大学独自の奨学金制度も充実している。
- 就職への直結:サムスン・LG・現代など韓国系企業はベトナムに大規模な生産・販売拠点を持つ。韓国の大学の学位は、現地の就職競争で「最強の武器」になるという現実的な計算がある。
背景には経済的なつながりもある。韓国はベトナムの4大貿易国であり、韓国企業の海外投資先としてもトップに位置する。留学生の増加は、この経済的な絆の文化的な表れでもある。
キャンパスで起きている「双方向」の文化交流
ソウルの大学食堂でベトナム語が飛び交うのは、もはや珍しい光景ではない。驚くのは、その声に韓国人学生がベトナム語で返事をしていることだ。かつての「文化輸出」一方通行の構図が、明らかに変わりつつある。
韓国の大学多文化サークルの約40%が、韓国・ベトナム交流プログラムを運営している。フォー(ベトナムのライスヌードル)作りワークショップの隣でキムチ漬けが行われる光景は今や定番だ。ベトナム人学生は韓国語を習得しながら、コーヒー文化・家族中心の価値観・多彩なストリートフードを韓国の若者に伝えている。これは一方的な「韓国化」ではなく、双方が相手の文化を吸収していく真の交流だ。
キャンパスの外でも変化は進む。ソウルの大林洞(テリムドン)、京畿道の安山(アンサン)、慶南の金海(キメ)などでは、ベトナム人留学生と労働者コミュニティが形成した「リトル・サイゴン」が韓国人のグルメスポットとして話題を集めている。かつての「彼らの街」が「みんなの街」へと変わりつつある——これは韓国社会が多文化をどう受け入れるかという問いへの、生きた答えのひとつだ。
課題もある:ビザの壁・差別・詐欺被害
良い面ばかりではない。言語の壁、複雑なビザ制度、アルバイト現場での差別的な扱いは依然として存在する。さらに不法就労の斡旋や保証金詐欺も増加傾向にあり、韓国出入国外国人政策本部の公式チャンネルでの情報確認が必須だ。
D-2(留学)ビザ保持者は入国から6ヶ月後、出入国管理事務所で時間制就業許可を取得すれば週20時間までのアルバイトが可能だが、業種制限があるため許可業種の事前確認は欠かせない。
韓国社会が抱える「少子化×人材パイプライン」という方程式
日本でも「外国人留学生が大学を支えている」という議論があるが、韓国の場合はより切実だ。出生率0.72という数字は、10〜20年後の大学定員割れを意味する。ベトナム人留学生は今のキャンパスを活気づける存在であると同時に、卒業後に韓国企業の東南アジア進出を支える人材パイプラインとしての期待も背負っている。
韓国政府は2025年から「スタディ・コリア300K」プロジェクトをスタートさせ、2027年までに外国人留学生30万人の誘致を目標に掲げた。ビザ手続きの簡素化と、卒業後の就業ビザ(D-10)への転換要件緩和も進んでいる。ベトナムはこの政策の最大の恩恵を受ける国のひとつだ。
韓国外国語大学・釜山外国語大学にはベトナム語学科が設置され、ソウル大・高麗大などの主要大学でもベトナム語が教養科目として提供されている。受講者数は年々増加しており、韓国の若者がベトナム語を学ぶという現象自体が、両国の関係の深まりを静かに映し出している。
よくある質問
Q: 韓国の少子化は日本と何が違うのか?ベトナム人留学生との関係は?
A: 韓国の合計特殊出生率は2023年に0.72を記録し、日本(約1.2)をはるかに下回る世界最低水準です。大学の定員割れが深刻なため、韓国政府は外国人留学生の積極誘致に舵を切りました。日本が技能実習・特定技能という労働力補充で対応しているのに対し、韓国は「留学→就職→定住」のルートを整備することで高度人材の呼び込みを狙っています。ベトナム人留学生の急増は、その戦略の最前線です。
Q: 韓国の若者は外国人留学生の急増をどう受け止めているのか?
A: SNSでは賛否両論が見られます。就職競争が激しい韓国では外国人との競合を懸念する声もありますが、Z世代は概してオープンな傾向が強く、キャンパスでの交流を前向きに捉える投稿が目立ちます。一方、アルバイト現場での差別的な扱いを告発するベトナム人留学生のSNS投稿も増えており、社会問題としての認知は高まっています。「多文化共生」はスローガンにとどまらず、現実の摩擦を伴うリアルな課題として議論が続いています。
Q: 日韓関係の現在地は?世代によって温度差はあるのか?
A: 2023〜2024年の関係正常化以降、政府間の関係は大きく改善しています。特に20〜30代では、K-POPや韓ドラを通じた文化的親しみから「隣国」として自然にポジティブな関係を持つ層が増えています。一方、50代以上では歴史認識問題に関して複雑な感情が根強く残ることも事実です。韓国社会の国際化・多文化化が進むにつれ、日韓の若い世代の「当たり前の距離感」にも変化が生まれていくとみられています。
Q: 2026年の韓国社会を読み解くキーワードは何か?
A: 要チェックのキーワードは「多文化共生」「スタディコリア300K」「N放世代(就職・恋愛・結婚など多くを諦めた若者世代)」「ソウル一極集中」の4つです。少子化・地方消滅・外国人材活用という課題は日本と共通していますが、韓国の場合は変化のスピードがより速く、2026年現在もキャンパス・地域社会の姿が急速に塗り変わっています。隣国の変化を「最新トレンド」として追うことで、日本の未来を考えるヒントにもなります。
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